ROJIX counter
HOME 露地録 うたかたの日々 妄想手帖 露地林 掲示板 アンテナ 露地書房 ROJIXについて

うたかたの日々

最新のうたかたの日々
6月後半
7月前半
7月後半

関連サイト

露地bloc
関心空間
ボルシチノート(?)
ROJIXアンテナ(?)
露地栞(?)
露地像(?)
携帯百景
mixi(id=253354)
露地蔵書(ブクログ)
twitter
twilog
露地日報


Google
WWW を検索
ROJIX を検索
オンライン書店ビーケーワン
書評ポータル
書評の鉄人
露地温の書評

露地書房


2006年7月前半

2006/07/01

後半戦突入。

 昨日は月末だと意識はしていたが、今日になって7月なのだと改めて気づく。何もしないうちに一年が半分終わってしまった気がする。この調子だと、年末に何もしないまま一年が終わってしまったと愕然としそうな気がする。計画を立てるなり、ちょっと気持ちを入れ替えよう。

 今朝は朝から録画したテレビドラマを観る。昨日までで放送済みの「HERO」10話まで視聴完了。月曜日に最終回、その夜には新作の2時間スペシャルがある。新作スペシャルが「あいつが帰ってきた」というキャッチフレーズなのは、最終回でキムタク扮する久利生検事が飛ばされるか何かで、地検から去っていくのかなとか想像したり。

 それから「アキハバラ@DEEP」の第3話を観る。第2話を観たことを書き忘れていたので、2話のことから書きはじめたら少し長くなったので、別項に分けることにする。やっぱりダメなんだけど、ダメなりに3話も見ると少しばかり愛着が沸いてきて、特に3話冒頭でアキハバラ@DEEPの生みの親ユイ(本上まなみ)がいきなり死んでしまうと今後の展開が気になるね。

 「アキハバラ@DEEP」は、実は映画版「アキハバラ@DEEP」も製作中で、9月公開らしい。当然キャストは違っていて、DVD版でいいところのないページを演じるのは成宮寛貴、アキラを山田優、一番DVD版で期待しているイズムを三浦春馬などなど。イズムがDVD版では女性なのに映画版では男性だったので驚く。原作ではどちらなのだろうか。

 ということで、石田衣良の原作の『アキハバラ@DEEP』(文藝春秋)を読むことにした。これ読んだら、DVD版観る気失せるかもなぁ。

 夜、テレビをつけたらたまたまやっていた「探偵学園Q」を観る。主人公キュウを演じていた神木隆之介くん、やっぱりいいね。なんとなく彼を見ているうちに、ついつい観続けてしまった。メグ役の志田未来とリュウ役の山田涼介も良かったけど。要潤とかバカキャラで出てくるけど、「アキハバラ@DEEP」もせめてこの程度にしておけばよかったのに。

 ということで、一日中ドラマを観ていた日。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

「アキハバラ@DEEP」DVD版 第2話

 第2話は1話ほどは酷く感じなかった。

 1話があまりに酷かったので少しの慣れたのと、格闘美少女アキラ(小阪由佳)と天才プログラマーイズム(松嶋初音)の話が中心だからだったかもしれない。

 第一話で最初に集まったページ(風間俊介)、ボックス(生田斗真)、タイコ(星野源)という三人のキャラの描き方が酷すぎるのだ。それに較べると、アキラとイズムだけはちょっとまともなのである。その代わり、今回イズムとともに新たに加わったダルマがまた酷い。バナナマンの日村勇紀が演じているのだが、三枚目キャラで登場するにしてもありえない馬鹿さ加減なのだ。

 ドタバタはある種慣れても、折角の才能ある集団の才能面が表に出てこないのではダメだ。今回アキラとイズムがメインだったために、アキラの格闘技の才能とイズムのハッキングの才能、ついでにダメダメのダルマですらコスプレの衣装作りという才能を見せたので少し許せたのだろうか。もっとも今回のイズムのハッキングはリアルではなくてがっかりしたのだが、このドラマに限らずテレビドラマでリアルなものを期待するのは無理なので仕方ないし、話の本質とは大きくは関係ないから良しとする。

 むしろ、2話の最後でイズムがアキハバラ@DEEPに参加を決めるのだから、これからのイズムの活躍に期待する。というか、DVD版「アキハバラ@DEEP」が今後も観るに耐えるのかどうかは、イズムの活躍にすべてがかかってるような気がする。

[ 「アキハバラ@DEEP」 TBS系放送中 今秋DVD発売予定 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

「アキハバラ@DEEP」DVD版 第3話

 第2話の最後で、ユイと会えることになった@DEEPのメンバーだが、目の前でユイ(本上まなみ)が倒れてしまう。3話の冒頭で描かれるのは、あまりにもあっけないユイの死である。

 Webサイトで人生相談的なことをしていたユイの真の姿がわずかながらも明らかになる。ユイの死後も、ユイが24時間人生相談をできたのは、イズム(松嶋初音)の作ったAIが、ユイの寝ている間には代わりに答えていたことがわかる。ユイのAIの想定問答のデータには、ユイの死後を意識したものが含まれていて、まるでユイがまだ生きているかのように自分の死についても話すというのはなかなかよかった。

 ユイの死後どうしたらいいのか迷っていた@DEEPのメンバーたちだったが、ユイの誰かを救うことで自分を救うことができたという言葉をヒントに、トラブルシューターとなることを決める。そして最初の事件はコスプレの着替え室を狙った盗撮ビデオの犯人探しだった。犯人探しに今回はビデオに含まれる声を聞き分けたタイコが裏方で活躍するものの、アキバチックなテクニックを見せるのはパソコン上に音の音域などをグラフ化した表示を出す程度で、あとは声を集めるほかのメンバーのドタバタが中心に話が進む。折角それぞれの得意分野が違うキャラを配置しているのだから、そこを強調しなくてはつまらないじゃない、という不満はまた今回も。イズムのAIネタでちょっと期待したけど、やっぱりダメなのか。

 激しい吃音のページ(風間俊介)が長い話をするときにキーボードを叩いてパソコンで音声化するようになるが、これもすでに1話から出てくるエピソードで、ページがパソコンを常に持ち歩いているのむしろそちらが理由なんじゃないかと思うのだが、ほとんど吃音で喋って大騒ぎというのもよくない。慌てたとき、感情が高ぶって、普通に喋って吃音が酷いとか、あるいは打ち解けた@DEEPのメンバーと話すうちに吃音が収まっていくとか、そういうのがなんで描けないのかな。

 毎回大袈裟なドタバタ振りにも慣れてきたのか、キャラたちにもちょっと愛着が出てきてしまった。予想外に早くユイが死んでしまったことと、@DEEPの作ったソフトが奪われるとかいうのが大きなストーリーらしいのでまだ話がプロローグでしかないことから、まだ観ようとは思うが、もうちょっとなんとかならないかなぁ。

[ 「アキハバラ@DEEP」 TBS系放送中 今秋DVD発売予定 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/02

いろいろなアキハバラ@DEEP。

 最近感想が停滞気味。結局、書きかけてまだアップしていないもの、全く手をつけていないものが多数。まずは日記更新と思って金曜日の日記から書き始める。「アキハバラ@DEEP」について書きはじめたらちょっと長くなりそうなので、分けて書く。ドラマ版の何が気に入らないのか、3話まで見ると不満もあるもののちょっと愛着を感じたりもしていることにも気づく。

 日記を書いたあとに、じゃあどういう風に表現したらいいのかと考える。ページ、ボックス、タイコのプロフェッショナルな面が全然描けていないのが一番の不満だろう。アキラとイズムが出てくると少し安心するのは、二人とも異常なキャラには描かれていないし、格闘技とプログラマーという明確な力が眼に見える。それに対して、ページは何ができるのか全くわからない。ボックスはグラフィックが強いというが、1話のオタク狩りの手配書を作るときの作画くらいしか印象に残っていない。サイトのデザインなどもしていることにはなっているが、それが物語の中できちんと描かれない。タイコも同じで、音楽の才能があるというだけでほとんど伝わってこない。
 それに対して、三人の欠点については、バカ騒ぎでありえないくらいの表現をする。ページの吃音は単に言葉がつっかえるのではなく、力を入れすぎて引きつるように喋り、動作も挙動も不審な感じになっている。タイコのフリーズは、白目を剥いて頭から湯気を出す。そのままの姿勢で固まってしまうので、みんなで担いで連れて行く。ボックスの潔癖症と女性恐怖症はそれほど目立たない。そういう意味じゃ、ボックスだけは少しまともに描かれている。

 原作でどう描かれているのか知らないが、こんな無茶苦茶じゃないはずだ。リアルな表現を考えているうちに、もしかして最近は「不適切な表現」に過敏なので、あえてありえないくらいドタバタさせているのかもしれないと思った。ある意味、そういう理由だとしたら、成功しているかもしれない。でも、ここまで戯画化してしまうのはAボーイとかオタクとかを差別しているような気がしてしまう。

 そんなわけで、ついに『アキハバラ@DEEP』(石田衣良 文藝春秋)を読みはじめる。1ページ目のプロローグからいい。本編にはいってページたちが現れても安心して読める。ページは確かに吃音で喋るが、ドラマの冒頭にあったようにパソコンが使えれば、キーボードに入力した文字を見せて会話している(音声出力ではなく)。その代わり、百科事典並みの知識を持っていることも、エピソードの中で描かれる。

 あー、やっぱりドラマだめだと思った。なんとなく愛着がわいてきたし、まだソフトが盗まれるという話の本筋に入っていないのだから様子を見ようかと思っていたが、原作を読んで話の薄っぺらさを感じてしまうと時間の無駄かなぁという気がしてくる。そんなことを思いながらも、夜、第4話を見てみる。今録画してある最後の話だ。
 「タイコの恋!?洗脳されるアキハバラチルドレンを救出せよ!」。まだ話の本筋には入らないのか、タイコの恋とかいかにもつまらなそうだと思いながら見る。秋葉原のオタクたちに更正を訴える男たちと、自虐少女隊というカルトバンドの登場。そして自虐少女隊のボーカルカイラに一目惚れしてしまうタイコ。だめだー、と思ったら、そこから面白くなってくる。最後にはちょっと泣ける話に。
 なんだよこれ! 今までと全然違うじゃないか。思わず今までの録画のクレジットを見直して、脚本家をチェックしてしまった。脚本は河原雅彦とあるが、ドラマはチームで制作するだろうし、回によって違う人が書いているかもしれないと思ったのだ。でも脚本はどの回も河原雅彦、脚本協力は川邊優子となっていた。クレジットに見えないところで、違いがあるのかもしれない。

 まいったなぁ。どこまで期待していいのやら。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

『時生』 東野圭吾

『時生』 東野圭吾 講談社文庫  難病で息子が若くして死を迎えるとき、父親の宮本拓実は妻に息子の時生には二十年以上前に会っているのだと告白する。自分でも信じ切れていなかったことが、息子の死を迎えて自信を持って話すことができるのだと語り始めたのは、今から二十年以上前まだ拓実が23歳の時の話だ。花やしきでトキオと名乗る不思議な青年に出会い、それからちょっとした事件に巻き込まれていく。

 死んだはずの息子が、二十年以上前の父親の元に現れるという、タイムリープの変形ストーリーである。タイムマシンを使わない、タイムリープの話は最近よく目にする。タイムマシンものタイムリープものは、未来を知っていれば、危機を逃れたり、金儲けができたり、都合のいいことができるが、そのために未来が変わってしまうなど、タイムパラドックスを絡めながら、いろいろな話のバリエーションが可能である。タイムリープものの特徴は、特別な機械などが介在しないため、ごく普通の人が巻き込まれる日常的でリリカルな物語が多いような気がする。

 『時生』もまた、タイムリープという特殊なシチュエーションに置かれているが、ごく普通の人の物語だ。もし息子が父親の青年時代に戻って、父親の危機を助けることができたならというのはあるが、タイムパラドックス的な展開は少ない。
 トキオは父親のあまりのいい加減さに呆れながら、自分の知っている過去とは違う方向に行きそうに見える父親に苛立ちながらも正しい選択、もしくは自分の知っている過去の行動へと父親を導こうとする。トキオが未来から来た自分の息子とは知らない拓実は、自分の思うまま突っ走る。それだけのドラマだ。

 主観は拓実側しかかかれないため、言葉の端々にトキオの苦悩を読み取りながら、若気の至りでバカをし続ける拓実にトキオ同様に苛立ちながら勢いよく読ませる。未来を知っているものの、若い頃の拓実もその頃何があったのかも知らないトキオと、読者は同じ立場にあるから、トキオ側の心理はないけれどある部分トキオに共感し、どうなっていくか判らない事件の行方は拓実とともに追いかけていく。

 最後はトキオが何らかの形で拓実の元を去っていくのだろうということは、物語が回想から始まる以上想像がつく。物語は最初に回帰する形で終わり、トキオが去っていき、回想を終えた現在の拓実と妻の会話に戻る最後では泣かされる。時生は死んでも、トキオとして過去に現れるのだというのは、ハッピーエンドとはいわずとも救われる話なのに。いやこれはハッピーエンドではないかもしれないけれど、ハーピーループバック−−終わらない物語なのである。

[ 『時生』 東野圭吾 講談社文庫 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/03

忙しい一日。

 月の初めは忙しい。ドタバタと過ごすうちに一日が終わっている。この一日にあらゆる締め切りが集中するというのは、なんとかならないものか。

 夜、軽く飲みに行く。先週飲んでばかりいたのに、今日みたいな日は飲みたくなる。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/04

「HERO」のジャンル。

 昨日録画した「HERO」の連続ドラマの再放送の最終回と、「HERO」のスペシャルを観る。

 「HERO」は回を追うに連れ失速していると感じていたという友人が、「ミステリ」的に観すぎていたからかもしれないという補足があって、なんとなく判った。僕はドラマの「HERO」はミステリだと思ってみていなかったことに気づく。そういえばどんな話かわからないでいた1話だけはトリックってそれだけか、とか思いながら観ていた気がするのだが、そのあとはあまりミステリ的に観ていなかったのだなと思う。

 そう思ったのは、「HERO」のスペシャルを観ていて、ちょっとミステリっぽいなと思って逆にミステリとして観ていないことに気づいた。最後の煙草の吸殻を探すシーンで、ミステリだったらここで吸殻じゃないものを見つけるのだがとしばらく何が見つかるのかわくわく?しながら観た。

 結局、「HERO」ってジャンルは何なんだ。やっぱり、クサいけど「人間ドラマ」だろうか。でも人によって、また別のジャンルになるのかもしれない。

 この前話した女の子は、「HERO」について、「あの通販サイコーに面白いですよね」と言っていた。確かにそうだけど、まず最初にそこなのか、と思った。視聴率が高かったのは、いろんな人にいろんな見方ができたからということもできるのかもしれない。

 そんなわけで、ドラマを観ながら家で飲む。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/05

W-ZERO3[es]

 W-ZERO3の新機種W-ZERO3[es]の発売が発表された。

 W-ZERO3が出たときにもちろん興味を持ったが、やっぱり電話にしては大きくてごつすぎる気がして買うまでの気持ちにはならなかった。ただ、最近マイナーチェンジの新機種が出たときに久々に機能などをチェックしているうちに、買い換えようかという気になってきた。理由は、電話で使ってる時間は微々たるものなので、大きな画面とLAN内蔵が魅力に感じてきたこと。最近、いろんな理由で、CLIEを持ち歩いていないので、PDAとしても使えるのもいいかもと思ったり。
 それでも大きさはやはりちょっと大きいのが気になるのと、片手で操作できるケータイとちがって両手操作になるのは電車なんかでは不便な気がして、まだ検討の余地があると思っていた。WILLCOMではポイントが溜まると、機種交換のキャッシュバックがあるので、もう数カ月考えて、キャッシュバックの金額が最大になる頃まで考えようと思っていた。

 しかしこの[es]は、ケータイサイズであること、ケータイと同じテンキーがあということで、今までどおり片手操作できると考えるとかなり魅力を感じる。残念なことにスペックを見比べたらLAN機能がない。もっとも外回りじゃないので、LANのある場所でのんびりアクセスすることなんて、そんなにないからいらないかとも思ったり。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/06

ドラマ

 久しぶりに遭った後輩に誘われて飲みに行く。いつもバカなことをいっているキャラだったのに、妙に静かである。でも単に落ち着いたというだけではなくてなんだか元気がないみたいな気がしていた。飲んで話していたら、実は落ち込んだりしていたみたい。また飲みに行こうというということで、飲みは早々に切り上げる。

 家に帰って飲みなおす。新しいドラマが少しずつ始まりだしたので、録画を観る。テレビドラマを見始めると、録画の消化に追われるので、ドラマなんか見ない方がいいのかもしれないと思いつつ。まずは「結婚できない男」。阿部寛って「トリック」にしても映画『姑獲鳥の夏』の榎津にしても、似たようなキャラで、結構いいかもしれないと思う。続いて、昼ドラの「美しい罠」を観る。何で昼ドラって、これ実はカトリーヌ・アルレーの『わらの女』だよ。1話を観た感じでは結構いい。

 そのあとも飲み続けていつの間にか昏倒。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/07

『アキハバラ@DEEP』 石田衣良

『アキハバラ@DEEP』 石田衣良 文藝春秋  あるWebサイトによって仲間となった、アキハバラの好きな6人の若者。彼らは実力はあるが欠点も併せ持ち、それらの欠点が彼らを世の中に踏み出す勇気を奪っていた。彼らががアキハバラ@DEEPとなったとき、わずかながらも世の中に踏み出すことができたようだったが、その一歩は彼らの思っているより大きな一歩だった。彼らの作り出したAI型サーチエンジン「クルーク」は、予想外の価値を生み出そうとしていた。その価値をいち早く悟ったベンチャー大手のIT企業デジタルキャピタルは、アキハバラ@DEEPからそのすべてを奪いとってしまった。失意のアキハバラ@DEEPの面々は、やがて「クルーク」奪還を計画する。

 若者たちのキャラがまずいい。ページは、百科事典並みの知識を持っていて、文章を書くのが得意だが、その反面喋ることがうまくできない。仲間と話すときでさえ吃音は激しく、彼はキーボードに打ち込んだ文字を見せてみんなに意志を伝える。ボックスはグラフィックデザインの才能が高いが、強度の女性嫌いと潔癖症で、3枚重ねの手袋を着け殺菌作用のあるウェットティッシュを持ち歩く。タイコは抜群の音楽センスを持つが、光や音の周期的な点滅でとつぜんフリーズを起こしてしまう。アキラは格闘技を得意とする美少女だか、自分自身はその顔に逆にコンプレックスを持っている。イズムは天才的なプログラミング能力を持つが、アルビノで陽の光を避けなくてはならない。ダルマは法学部を卒業し法律事務所に就職したが、ある日から引きこもりとなり十年か部屋の壁を見て過ごしたという。そしてようやく、部屋から出ることができたダルマは再び部屋に戻るとまた部屋を出られなくなる気がしてサウナなどに宿泊して家には決して帰らない。

 そんな彼らが、従来のホームページの制作請負から、自分たちのサイトのオープン、そのサイトの集客のために考えたいわば「オマケ」のサーチエンジン「クルーク」の開発へと進むうちに、デジタルキャピタルとの戦いへと発展していく。

 なかなか面白かった。最後には、何気ないところでちょっとほろりときたりもした。プロローグから伏線が張られていたのだが、最後はややSF的なオチがつく。総合的に満足なのだが、この、最後のSF的な終わり方には不満がある。SFというには、最後の出来事を成立させる論理的な飛躍がないので、単なるありえない出来事になってしまうからだ。

 理屈を省略することによって、あるいはプロローグから個々の章でもさりげなく伏線を張っておき、最後は語り手を変えることによって、違和感なくすんなりと結末に導いた語り口のうまさは認める。でも理屈に合わないので、ちょっとコンピュータやプログラミングが好きな人間ならがっかりしてしまうような安易さを感じてしまう。

 普通に冒険活劇のまま(最終章はアクションが中心)で終わった方がよかったのにと思う。求めすぎなのかなぁ。

 とかいう不満はさておき、石田衣良らしい面白い物語であることは間違いない。

[ 『アキハバラ@DEEP』 石田衣良 文藝春秋 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/08

週末のサイト更新と読書。

 昼間は、溜まっていた日記を書いて、サイトの更新。最近、日々の更新が滞りがち。ドラマの視聴に追われて遅くなってしまうか、飲んでいるうちに眠くなって寝てしまうか、どちらかだ。

 夕方から「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」シリーズの1冊として書かれた、綾辻行人の『びっくり館の殺人』を読み始める。これ、「ミステリーランド」の一冊として書かれているものの、館シリーズの1冊だと聞いていた。なるほど、冒頭の「主な登場人物」に、「中村青司……謎の建築家。/鹿谷門実……謎の推理作家」とある。期待して読み始める。
 そういえば、「ミステリーランド」のシリーズって刊行当初に結構レベルが高いという評判だったが、まだ『子どもの王様』(殊能将之)しか読んでいない。

 夕方から映画でも観に行こうと思っていたが、出かけるのが遅くなり、そのまま飲み始めて結局出かけないというのが最近の常で、今日はせめて出かけようと飲みに出かける。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/09

安永知夏ファンサイト

 安永知夏ファンサイトなるものを見つけた。コンテンツが充実しているとか、取り立ててすごいとかいうわけではないのだけれど、こんなサイトを作ってる人がいるということだけでも、殊能ファンとしては嬉しいのでメモしておく。まだ、6/28に開設したばかりみたいだ。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

『びっくり館の殺人』 綾辻行人

『びっくり館の殺人』 綾辻行人 講談社  「ミステリーランド」シリーズの一冊として書かれたが、「館」シリーズでもあり、そのことはあとがきで綾辻行人自身が「シリーズの正統な第八作」と書いている。冒頭の登場人物紹介には、「中村青司」の名も「鹿谷門実」の名前もあがっているとなると、否が応でも期待が高まるものである。

 物語の始まりは、大学生の語り手「ぼく」が、とある古本屋で偶然手に取った『迷路館の殺人』。その本に出てくる建築家「中村青司」の名前が、15年近く前に「ぼく」が小学生のときに立ち会ったびっくり館で起きた殺人事件を思い出させる。小学生の「ぼく」の回想で物語りは語られていく。

 「びっくり館の密室」という章のタイトルにもあるように、いきなり密室での殺人事件の発見が語られ、その事件までの出来事がさらに遡って語られる。
 面白く読んだけれど、犯人が明らかになったところで、このまま終わってしまうのかというちょっと物足りなさを感じた。もうひとひねり欲しかったのだ。この結末だと叙述トリック的な面白さはあるのだが、どうしても単なる告白で終わっているように思えてしまう。やっぱり、別に探偵役が出てきて欲しかったし、それが無理ならせめて告白の前に、謎解きが始まるという宣言をもっと明確にしてほしかった。新本格の代表者の一人の作品としては、アンフェアな感じがしてしまう。

 この作品は、ミステリとして楽しむより、むしろホラーとして楽しむべき物語なのかもしれない。そういう点では、最後のシーンはまさにホラー的終わり方だ。ここにも一言付け加えると、もっと次に起こるべき事件を匂わせるような毒をきかせてもいいくらいだと思うけれど。

[ 『びっくり館の殺人』 綾辻行人 講談社 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/10

美しい罠の罠。

 休み明けは朝起きるのが辛い。一日の仕事を終えて、今日はまっすぐ帰宅。家で缶チューハイ、のち泡盛のシークワーサー割を飲む。

 飲みながら、昼ドラの「美しい罠」とか見る。とりあえず、今日放送の6話まで観た。今日はいいところで終わって、明日が楽しみ。と、妙にはまってる。まさに罠だ。

 読書、ドラマなどの感想が溜まっていて、今日こそドラマ版「アキハバラ@DEEP」を3話分まとめて感想を書いてしまおうと思っていたのに、またできなかった。

 読書は、『ユダの福音書を追え』を読む。『ユダの福音書』の発見から、復元、翻訳に至るまでのドキュメンタリー。まだ、5分の1ほどしか読んでいないが、スリリング。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/11

『ウルトラヴァイオレット』

 『イーオン・フラックス』のときにも書いたのだけど、殊能先生が日記で、「『ボンデージファッションの女に二丁拳銃を持たせればとりあえず映画になる』という安易な発想はそろそろやめませんか。」と書いていたことがあって、これは名言だと思うのだが、そんなに安易な発想で生まれたかのような映画である。

 といいながらそういう映画は嫌いじゃなくて、というかひたすらB級に徹していたら、それはそれで好きなのだ。しかし、なんとなく『イーオン・フラックス』を思い出すような場面もあるし、ウィルスによって人類と別の種族となったファージ(暗闇に強く牙のような歯になっている)は吸血鬼を思い浮かべて、さきほどの殊能先生の槍玉に上がっていた『アンダーワールド:エボリューション』も思い出す。
 子どもの血液に抗体があるという設定は、この間観た『トランスポーター2』を思い出すが、これは元をただせば『MI:II』のウィルスを自分に打って運ぶ話に遡るのかもしれない。『MI:II』自体も、元ネタがあるのかもしれなけれどね。
 まあ、そんな感じで、いろんなところでどこか見た様な世界ではある。

 ちょっと気になっていたのは、この映画、ジーナ・ローランズ主演の『グロリア』を元ネタにしているという話である。監督/脚本のカート・ウィマーが「『グロリア』をコミックブック・アクションアドベンチャーとして甦らせたい」といって作られた映画らしい。何が気になかったかって、つまりSFバカアクションなら許せるけど、SF版『グロリア』だとちょっと許せないかもしれないという心配である。

 そんな心配をしながら観始めたが、映画の冒頭はなかなかいい。アメコミの表紙の絵で見せる『ウルトラヴァイオレット』の世界。この絵だけ見ていると、ジャパニメーションの影響バリバリ、というかこれどうみても草薙素子じゃないみたいな画があったり、AKIRAのブックデザインに近い物が見えたりして結構楽しむ。アメコミ版『ウルトラヴァイオレット』を見てみたいと思ったくらいだ。

 そして冒頭の無邪気なアクションも結構いけてる。CGっぽくしているのはわざとなんだろうか。壁面をバイクで走るシーンは、関係ないかもしれないけど、『ルパン三世 カリオストロの城』を思い出す。こういうバカSFアクション、いいかもと思っていたのだけど、少年が出てからちょっと辛くなってくる。

 アクションの連続で思考停止して楽しんでいれば面白いんだけど、その間の話がかったるい。そこへきて、『グロリア』が元ネタというのを思い出すと、だんだん楽しめなくなってくる。

 少年が指を6本見せて、「シックス」という名前を示すが、『グロリア』で少年が6歳だったのを思い出す。地下鉄に飛び乗るシーンやら、墓地のシーン、さらには一度は見棄ててからやはり助けようとするとか、明らかに『グロリア』のオマージュかなとか思ってしまうシーンが多数。
 結局、なんだか消化不良で、残念ながら今ひとつ楽しめなかった。ラストクレジットで、『グロリア』について何か出てくるかなと思ったけど、出てこなかった。見落としてないと思うんだけど。

[ 『ウルトラヴァイオレット』 新宿ミラノ2 ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/12

『嫌われ松子の一生』

 中島哲也監督の『嫌われ松子の一生』を観てきた。未見の『下妻物語』の評判がいいし、知らず知らずのうちに期待していたみたいで、ちょっと期待はずれ。

 冒頭から、映像的ないろんな遊びがあったり、原色多用の色遣いも気に入って、これはいいかもと思っていたのだが、物語を追うにつれだんだん話が薄っぺらく感じてしまったのだ。

 原作の長さからすると、原作にはかなり忠実と言ってもいいと思う。甥の笙とその彼女のエピソードは極力短縮し松子の人生に絞っることで、あまり松子の流転の人生を変えずに残している。しかしその分、松子の人生がさらにジェットコースター的にめまぐるしいイベントの連続になってしまい、それぞれの転機の松子の苦悩なんかが伝わってこないように感じた。

 こうなると原作とストーリーをもっと変えて、エピソードを減らした方がよかったんじゃないかと思う。とはいっても、松子の人生の一つのエピソードは次のエピソードへと繋がっているので、どれもはずしがたいのも事実だ。原作を知らない方が、単純にどうなるのかハラハラしながら観られたかもしれないと思うが、でもやっぱり松子の気持ちがよくわからないと思ったのではないかという気がしてしまう。
 特に松子が刑務所に入ることになる殺人とか、松子の美容師への情熱のくだりとかは、もうちょっと松子の気持ちをきちんと描いてほしいと思った。

 ミュージカル的構造、凝った映像、どれもすごくいいのに、小説で書かれていたディテールがなくなっているのが気になってしまった。別に原作至上主義ではないが、映画化されたら映画は原作に勝っていないといけない。原作を読んでない方が楽しめたと思わせたら負けだと思う。

 原作の『嫌われ松子の一生』は、読んだときにはそんなに思い入れがあったわけではないのだが、この映画を観ているうちにいろいろな松子の細かなエピソードを思い出して、結構いい話だったと今更思い出したりしている。

 この映画を気に入って原作を買ってきた知人は、原作のあまりの暗さに途中で放り出したままだという。映画と小説では、同じ松子の人生でも描き方が明と暗が対照的であるかもしれない。

[ 『嫌われ松子の一生』 MOVIXさいたま ]

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/13

猛暑。

 午前中、外出。外を10分歩くだけで汗が噴出す。夜少し残業して、夜は飲みに行く。ビールがうまい。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/14

友、遠方より来る

 朝からバタバタと忙しい。午後外出して、夕方戻ってくる。戻ってからも仕事が山積みで帰れない。

 今日は遠方の友人が東京に久々に来るというので、数人で集まって飲みに行くことになっていた。19時に待ち合わせのところ、1時間遅れて参加。5人くらい集まる予定が、皆仕事が忙しかったりで、結局3人だけのこじんまりとした集まりとなった。人数が少ない分、じっくり話せたはずなのだが、終わってみるとまだ話したりない気がした。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006/07/15

ドラマ録画消化。

 休日なので、録画したドラマの消化。

 『花嫁は厄年ッ!』秦建日子脚本で篠原涼子主演という「アンフェア」と同じ組み合わせということで観てみる。「アンフェア」の雪平刑事の口調は好きだったのだが、同じ口調でも今回のアナウンサーのキャラはあまり好きになれない。
 クレジットを見ていたら、原案として『奥さまは毒舌 農家の長男と結婚したら……』(青月ぱそる 祥伝社)と出ていて、これも元ネタ本があるのだと始めて知る。もっとも、最近オリジナルドラマの方が珍しいのかもしれないが。それで、amazonでどんな本かと見てみると、実は人気ブログの「BLUE MOON 少々毒がございます」の単行本化なのだそうだ。
 あくまで原作ではなくて、原案みたいだが。

 上戸彩主演の「下北サンデーズ」を観てみる。こちらは、良くも悪くも最近注目している「アキハバラ@DEEP」の原作者石田衣良の同名小説が原作。幻冬舎の雑誌「パピルス」に連載していたので、単行本は幻冬舎から今月25日発売予定らしい。
 第1話は主人公の上戸彩がいまいち乗り切れない感じがしたのだが、最後で爆発。なかなか面白い始まり方になった。演出が堤幸彦だが「トリック」とかのノリとは違う。堤幸彦って、映画『恋愛写真』とか別のノリがあるがそちらに近い。
 クレジットを見ていたら脚本が河原雅彦で、「アキハバラ@DEEP」と同じだった。

 その他「美しい罠」、「ケータイ刑事銭形舞」とか。

 permalink | このエントリーを含むはてなブックマーク



記事一覧

後半戦突入。
「アキハバラ@DEEP」DVD版 第2話
「アキハバラ@DEEP」DVD版 第3話
いろいろなアキハバラ@DEEP。
『時生』 東野圭吾
忙しい一日。
「HERO」のジャンル。
W-ZERO3[es]
ドラマ
『アキハバラ@DEEP』 石田衣良
週末のサイト更新と読書。
安永知夏ファンサイト
『びっくり館の殺人』 綾辻行人
美しい罠の罠。
『ウルトラヴァイオレット』
『嫌われ松子の一生』
猛暑。
友、遠方より来る
ドラマ録画消化。


Copyright(C)1996 - 2016 Rojix. All Rights Reserved.